2013年03月06日

浅い春『らくごの芽50回・最終回』談奈 文菊 談吉 2013/03/03


立川志加吾(現・雷門獅篭さん)の『風とマンダラ』のなかには「立川流一のうっかりもの・立川フラ談次」が出てくる。着物を裏表逆に着て高座に上がったとな。




これがいまの立川談奈さんだ。
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おっとりと品がある顔立ちと語り口、そしてうっかりさんの談奈さんが、とにかく精力的に、ものすごい本数の落語会をこなしてきた。

この日は、談奈さんが掛けてきた落語会『らくごの芽』10年50回の最終回。

僕は、このように丁寧に運営されて来た落語会を他にあまり知らない。写真を見て欲しい。
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『シェアする落語』の『シェアらくグラフ』も凄いけど(手前味噌)、こんなに美しい手作りのパンフレットはなかなかない。何しろ糸で綴じてある。僕自身、落語会運営に取り組もうと思ったとき、たった一回しか来たことがない『らくごの芽』にずいぶん影響受けたし、これからも見習いたいと思っている。

主宰の瀬知エリカ先生、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。

(ちなみに僕はこの落語会で、談奈さんがたびに履き替えるのを忘れて靴下で高座に上がったのを目撃した。ああ、やっぱりうっかりさんだ)

というわけで、そんな素敵な落語会の最終回なんだけど。

立川談吉 『七福神』
立川談奈 『宮戸川』
古今亭文菊 『棒鱈』

仲入り

磯田道史『ミニ講義 隕石の話』
立川談奈『藪入り』

●立川談吉 『七福神』(一目上がり)
正月に掛けていたネタ。最終回はおめでたいということで、七で止めての七福神。まくらでの逡巡は余計だと思うけど噺は実にけっこう。軽妙にして的確。


●立川談奈 『宮戸川』
つまらないまくらではないのだけど「噺に入るのが怖い」気持ちが見えてきて、ついでに本人もこの通り告白してしまうから、なんだかなあと。

で最終回で無謀にもネタおろし。どういう心理なのか今一つ理解できないが、ここはスタッフの方へのお礼を込めた噺をすべきでなかったか。たとえば第一回で掛けた『転失気』とか。

案の定、残念ながらネタおろしできるレベルでもなかった。
間違えちゃいけないところで間違える。レイゲンジマはダメだ。別に全ての客が日本橋小網町から霊岸島までの距離を知っているとは思えないが、理由もなく地名の読みを変えて良いわけがないし、噺の筋をきちんと理解できていないように感じられてしまう。勘所を外すと途端にコンテクストが弱くなるのだ。
案の定、落ちにかかるあたりには噺がバラバラに解体し、台詞と地が繋がらない。

唯一良かったのは、昨年、お祭りの司会で完全に潰してしまった喉がほぼ復調していたこと。


●古今亭文菊 『棒鱈』
真打になってからは初めて。もともとその佇まいからして江戸ムード満点で技術もぴか一の人で、ナチュラルボーンの噺家だなと思っていた。ただ、どうもうまさが嫌味な感じにとれるところがあった。
けれど、真打になってだいぶ落ち着いてきて、こちらも素直に「上手いなあ」と感動できる落語家へと進化した気がする。
目の使い方から指先まで隙なくピタッと決まる美しさ。そして面白い。笑える。抜擢される人は違うなあ。

それにしても、近くで見るとものすごく長いまつ毛ですね。 

あえて難を言うと、芋侍の唄「いちがちは〜」などが、ジャイアンな唄ではなくて「ああいうジャンルの邦楽」に聴こえてしまったことくらいかな。うますぎちゃった。もうちょっと壊してもいいかと。ちなみに僕は三遊亭歌奴師の『棒鱈』が好きです。


仲入り


●磯田道史『ミニ講義 隕石の話』
実に久しぶりの磯田先生のお話。古文書から江戸に落ちた隕石の話を推理していく。内容もきわめて興味深いが、それ以上に話の運び方がメチャクチャうまい。学生は楽しいだろうなあ。手本にしたい。


●立川談奈『藪入り』
無謀なネタおろしに失敗し、後輩である文菊師との実力差をまざまざと見せられ、ぐっと心を入れ替えたのか、しっかりと噺に魂を入れようとした姿勢は見えた。「おっかあ、野郎大きくなったろうなあ」では、僕の目からはちゃんと涙も出てきた。
ただ子供が弱い。もう少し人物を造形しないと落ちに近づくと辛くなってくる。


談奈さんはまじめな人だし、しなくていい苦労を背負わされできた人だし、そのせいか人に好かれる。
お客さんにもとても丁寧に接している。僕もいろいろ世話になっている。
これから勝負を打つ、真打を目指すとの決心も本物だろう。
だけど、だからこそ考えて欲しい。自分はどこで勝てる落語家になるべきなのかを。

正直、ただの素人として、こんな偉そうなことは書きたくない。
昇進披露目の記事が書きたいのだ。
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ま、待つしかないね。

関連リンク 
第50回最終回 らくごの芽:感謝:瀬知エリカの絵手帖日記:So-netブログ

m_shike at 08:30コメント(0)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 

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