2013年03月04日
きつつき改メ四代目三遊亭萬橘真打昇進襲名披露 @両国亭 2013/03/03
目出度いですねぇ。
むかしニフティ寄席で聴いたときから好きだったきつつきさん。
大名跡を襲っての真打昇進。両国亭でお披露目だというので何気に足を運んでみた。その途中、スマホで検索していてびっくり。スペシャルゲスト立川談春師だとぉ?予約もなしにあの狭い両国亭に入れるのかしらん。
(前座)三遊亭楽しい『からぬけ(あなごでから抜け)』立川幸之進『六尺棒』三遊亭鳳笑『寿限無』三遊亭楽京『みそ豆(味噌豆)』三遊亭とん楽『紀州』立川談春『かぼちゃや(かぼちゃ屋)』三遊亭圓橘『関取千両幟(稲川)』仲入り口上(並び順で)王楽(司会) 好太郎 とん楽 萬橘 圓橘 談春 楽京三遊亭好太郎『しの字嫌い』宮田陽・昇『漫才』三遊亭萬橘『二十四孝』
案の定長蛇の列。でも談春師出演知らなかった人も相当いたようで、これは萬橘師が読んできた客だなと。受付で「きつつき」というと当日1500円が前売料金1200円になってしかも記念グッズが付いてくることになっていたんだけど、僕はすっかり忘れれて。
でも何も言わなくても優遇してくれました。グッズはとても可愛くて気に入っちゃった。
スイカペンギンでおなじみ、さかざきちはるさんの絵。可愛いっしょ。
なんとか入れて、前から二番目を確保。前方を桟敷にした座布団席。
後は、こんなにいっぱいどこから持ってきたのかという椅子を隙間なく並べて、両国亭は見たこともない大入り満員。
●三遊亭楽しい『からぬけ(あなごでから抜け)』
圓楽師七番目の弟子、本日なんと初高座。ラッシイと読むのだそうだ。
絶句も仕込み忘れもなくさらりとこなした。その後の高座返しもちゃんとやってた。これから頑張ってくださいな。
●立川幸之進『六尺棒』
昨日出ていたはずが出演者変更かな。客の熱気をうまくつかんで、なかなかの好演。反対車でもないの飛び上がったのにはびっくりしたが、良かった。伸びている若手を聴くのは楽しい。ちょっと見ないとすぐ伸びる。
●三遊亭鳳笑『寿限無』
前に四派で深夜で聴いたことが。
「萬橘師匠は入門した時の立前座で、襟首掴まれて怒られたことがある」。三笑亭笑三師のようなぎょろ目を生かすことはなかったけど、途中まで普通の寿限無でここまで笑いとれるんだから、いいと思う。
「萬橘師匠は入門した時の立前座で、襟首掴まれて怒られたことがある」。三笑亭笑三師のようなぎょろ目を生かすことはなかったけど、途中まで普通の寿限無でここまで笑いとれるんだから、いいと思う。
後半は完全に改作で、役所の窓口に行くということで、ちょっと立川志の吉さん(こっちは病院の窓口)を思い出したけど、全然違う展開でポンと下げに持っていった。
●三遊亭楽京『みそ豆(味噌豆)』
前に聴いたことあったかなー。呆気にとられるくらいのショートバージョンをぴたりと。
●三遊亭とん楽『紀州』
ベテランなのにずいぶん素人っぽい語り口。でもギャグが面白くて笑ってしまう。
●立川談春『かぼちゃや(かぼちゃ屋)』
まさかこの距離で談春師とは、と思っていたら。「まさか皆さんとこのような形でお目にかかるとは思いませんでした」ハハハ。
「からぬけという噺が出ていますので『ネタが付く』と言って本当は行けませんが。立川流なので知ったことではありません」と与太郎噺。
志らく師はじめいろんな方が談春師のこの噺を絶賛しているが、生で聴いてよーく理解できました。そりゃ『包丁』『九州吹き戻し』も凄いだろうが。苦しいくらい笑わせてくれるこの噺に出会えてホント良かった。前半の構成が前に聴いた『明烏』に似ているのも興味深かった。
●三遊亭圓橘『関取千両幟(稲川)』
談春師にお礼を言いつつ、まくら(内容忘却)で軽く温めて相撲噺。
……。
よかった。ほんと良かった。
そんな大したドラマじゃないと思うんだけど、なんか泣いちゃったよ。「ご贔屓を大切にしなさい」という分かりやすい弟子へのメッセージここまで心を打つとは。凄いな。
仲入り
●口上(並び順で) 王楽(司会) 好太郎 とん楽 萬橘 圓橘 談春 楽京
最近めきめきと腕を上げているとの噂を聴く王楽師が、上手に司会を務めた。
「絶倫の」楽京師・「パパの一門総領弟子」好太郎師・「黒紋付き忘れた」とん楽師と、一門がさりげなくひっかき回し役の談春師につないでいく。
予想通り談春師が全部持って行って(ちょっとメガネかけてくれる?「お前は桃屋か」)、圓橘師が優しく「レザーの手袋より毛糸の手袋が似合う噺家に」とまとめる。
で、最後の手締めでもう一回談春師が「お前いい師匠持ったな。談幸師匠の真打披露の時、先代圓楽師匠は口上に並んで、その最中に寝たんだぞ」。
●三遊亭好太郎『しの字嫌い』
クイツキでヒザ前。難しい出番をちょうど良い量の笑いで収めた。こういうのは技術なんでしょうな。
●宮田陽・昇『漫才』
東京漫才の売れっ子。実は初めて。なるほど、面白い。何かを偉そうに語っておいて、つっこまれて「わかんねぇんだよ」と話を全部ぶん投げちゃうのは面白い。
●三遊亭萬橘『二十四孝』
メガネをかけたまま登場し「三木のり平です」。このメガネを途中で外すのが萬橘スタイル。
最初はずいぶん上がっていたようで途中で息を整えたりしていたが、おどおどしながら談春師の話(「ただ座っているだけで説教されているみたいで」)、後輩の襟首をつかんだのは「襟に興味があったんです」と、だんだんジャブがヒットし始める。ええ、師が大好きなボクシングにたとえているわけですが。
噺に入るとこれが、もう足を止めずにひたすら連打。畳み掛ける連打。笑えない瞬間がほとんどない連打。うーん、なんたるラッシュ。
改作により完全に自分の肉体と噺が一体化している。他人がマネしたら絶対にだだ滑りしそう。ごろーんと寝転んでしまうそのタイミングが絶妙なんだわ。
三遊亭萬橘とくれば初代・明治の珍芸四天王「ヘラヘラの萬橘」ですが、僕に言わせりゃ当代は「フラフラの萬橘」だ。笑い過ぎた客がフラフラになる。
と書いて気が付いたんだけど、師がこの『二十四孝』を掛けたのは「郭巨」(かっきょ)の逸話がが出てくるからなのかな。
初代萬橘と同じく珍芸四天王のひとり・四代目立川談志の珍芸『郭巨の釜掘り(窯掘り)』のネタ元ですからね。
談春師出演のお礼ということ?だとしたら、やるなあ。
初代萬橘と同じく珍芸四天王のひとり・四代目立川談志の珍芸『郭巨の釜掘り(窯掘り)』のネタ元ですからね。
談春師出演のお礼ということ?だとしたら、やるなあ。
萬橘師匠!おめでとうございます。
後ろ幕も良かったねえ。さかざきさんイラストに、進取の気象! 実は俺先輩なんだ!応援してますよ!