2013年03月01日
[映画]TOKYOてやんでぃ
落語の映画なんてめったにないし、なんといっても本作は僕がもっと愛する落語家映画にして森田芳光デビュー作『の・ようなもの』の主役・伊藤克信と、名脇役・でんでんのふたりが落語家役として登場するとあって、実にひっさしぶりに気合入れて、初日一回目舞台挨拶にまで行ってしまったのだった。生・伊藤克信を見るために!
相変わらずの栃木訛りに涙が出そうになった。ずいぶん太っちゃったけど、志ん魚そのまんまじゃねえか。
で、映画の方なんですが、感想はちと複雑で。
不満点から書く。
●画面ボケすぎ
そういう効果を狙ったんだろうけど、とにかくフォーカスを合わせない絵が多すぎ。画面の8割くらいがボケているシーンもあった。
ほとんどが楽屋の中で展開する「狭い映画」なので遠景近景などあるはずもなく、ものすごく意図的にアウトオブフォーカスな絵が使われるのだ。これは馴染めなかったなあー。
むしろ狭さを逆手に取って、ありとあらゆるカメラアングルを試して欲しかった。上から撮って人物間の距離感とか楽屋の狭さを表現したり、思い切りローアングルで正座状態の膝の近さを示したりできたと思うんだが。
ほとんどが楽屋の中で展開する「狭い映画」なので遠景近景などあるはずもなく、ものすごく意図的にアウトオブフォーカスな絵が使われるのだ。これは馴染めなかったなあー。
むしろ狭さを逆手に取って、ありとあらゆるカメラアングルを試して欲しかった。上から撮って人物間の距離感とか楽屋の狭さを表現したり、思い切りローアングルで正座状態の膝の近さを示したりできたと思うんだが。
●楽屋に見えない
余計な落語知識があるせいなのかわからないけど、どうしても楽屋に見えなかった。『の・ようなもの』で一瞬映る楽屋が僕にとっての末廣亭楽屋で、全体的にどうにも新しく見えてしまった。
この二点により、ずいぶんテンション下げられたのだけど。
良かった点を書く。
●『の・ようなもの』の二人に対するリスペクトが素晴らしい
全般的にキャスティングがなかなかいい作品なのだけど特にこの伊藤克信・でんでんの役どころと演技が素晴らしい。
『の・ようなもの』で32年前に二ツ目だった二人がこうなったかー。泣けますよほんと。『の・ようなもの』を観ていない人でもこの二人の役どころには唸らざる得ないのでは。ほんとよかった。
『の・ようなもの』で32年前に二ツ目だった二人がこうなったかー。泣けますよほんと。『の・ようなもの』を観ていない人でもこの二人の役どころには唸らざる得ないのでは。ほんとよかった。
●ベテラン俳優が素晴らしい
ピシッとピントと合わせたベテランのアップか凄まじく良い。
小松政夫先生!ガキの頃からの僕のヒーローですが、惚れ直しましたね。その存在感、アップでスンバらしい表情を見せてくれます。
お話し進行役の下座さん・黒田福美もいい。ラサール石井、三谷昇、みんな素敵です。
いい役者がとっかえひっかえ出てきて、さらっといい芝居しては捌けていく。贅沢ですな。
若手は、主役も含めてまずまずな感じでした。安達祐実は、ほんとにコスプレしかしていませんが、そういう役なのでしかたない。
落語好きが楽しめるかどうかはよく分かりません。落語知らないほうが楽しめるかもしれません。
しかし少なくとも『の・ようなもの』好きなら前売鑑賞券分の満足は確実。
チラシにいとうせいこうが書いていたことだけど、この手のコメディはぜひテレビドラマでやってほしいなあ。エピソードを毎週重ねて行ったほうが絶対面白いと思う。
これはチケット。