『シェアする落語』次回は7/7です。

2012年11月26日

伸び伸びとやりたいことを 新宿末廣亭深夜寄席(芸協) 昇吉 花助 小蝠 鯉八 2012/11/24


立ち見が出てました。200名オーバーか。凄いね。
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瀧川鯉八『都のジョニー』
柳家小蝠『柳田格之進』
雷門花助『紋三郎稲荷』
春風亭昇吉『たらちね』


●瀧川鯉八『都のジョニー』
「おそらく始まって以来だと思うのですが客席に赤ちゃんがいます」バブー・キャッキャーとうるさい。「僕の落語がダメでも皆さん赤ちゃんに癒されてください」無理です。

ほどなく赤ちゃん退場。寄席にオムツ取れない子供は無理。しかも深夜寄席だぜ。

そんなアクシデントを乗り越えつつ鯉八さんはペースをすぐに取り戻して、まくらでガンガン笑い取ってくる。噺は前に聴いたものだけど全く飽きない。たった二人の「飲み会に行くかどうか」だけの会話がなんでこんな面白いのか。ここでも小さい人間のとにかく小さい部分をこれでもかこれでもかと戯画化してみせ、最後に噺ごとぶん投げて「お後をお楽しみください」と退場。

あとでご本人は「だだ滑りましたよ」と仰っていたがそうではない。ツイッターでも「面白い」との感想がざくざく。浅草でもそうだったが客は噺に引き付けられて落ちで呆気にとられている。「やられたー」という雰囲気なのだ。

それにしても自作とはいえあんな難しい噺をあそこまで上手くやるのは、相当稽古していると見た。最近ときどき「らっちゃっちゃっちゃちゃー」と「はしゃぐ兄さん」の物真似をしてみる私でございます。





●柳家小蝠『柳田格之進』
久しぶり。もともと無茶苦茶上手い人で、立川流で回り道した分まだ二ツ目だけど芸は真打級、のはずが、前回深夜寄席で聴かせてもらった時は何か調子悪そうだった。

今回はその時よりはずいぶん復調、確かな技術が感じられてうれしかった。だが、正座椅子を使っても最後になかなか立てない頃を見ると足がだいぶ悪いらしい。これが治ればもっとやれる人なんだろうなあ。

ぴしっと人情噺を決めてきたけど、やはりこの噺、娘のことを考えるといまひとつ好きになれない。うまく整理している落語家も多いけど、小蝠さんは深く触れずさらっと流した。ま、これも一つの手かな。


●雷門花助『紋三郎稲荷』
来年真打昇進。まくらでもその話をしていたが、どうも話題になっていないんだよね。芸協の発表もない。聞いたところ抜擢だということなんだけど、どうなんだろう。

まあ、昇進は文句なしです。堂々とした語り口は風格まで感じさせる。安心して聴ける人です。
松戸生まれ松戸在住だそうで、この噺の舞台はホームグラウンド「本陣は、今の松戸郵便局のあたりで、はす向かいにセブンイレブンがあります」なんてギャグも面白い。


●春風亭昇吉『たらちね』
まくらの最中に山陽新聞の記者だかカメラマンだかが撮影、というか、この撮影のためにまくらやっていたみたい「ほんとは、まくらだらだらやるの嫌いなんです」と。
むかし某新聞の雑誌記者にケンカ売った話とか、NHK演芸図鑑の撮影で後ろ向きに高座から落ちて首の骨折ったとかそんな話を、なんとなく生意気口調で。

さて、何を掛けるのかなと思ったら前座噺。前回NHK新人演芸大賞で見たときの芝居っぽい型にはまった感じの演じ方はやや残っていたが、ぐっとリラックスして、しっかり客をグリップしていた。これといったギャグもなくこの噺でここまで笑いが獲れるのは大したもの。

翌日のNHK演芸図鑑で放送された『安いお店』みたいな新作のほうが好きだけど、『たがや』の呪縛を抜けてリラックスして、ちょいと生意気やんちゃキャラで押したら面白いと思う。というか、もう、伸び伸びとやりたいこと仕掛けたら面白いはず。

とりあえず、前髪を元のように落としたのは良かった。

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というわけで、この日も楽しい深夜寄席でした。

m_shike at 23:00コメント(0)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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