2012年08月03日

そして蝋燭の芯が打たれた 八月雲助圓朝通夜『真景累ヶ淵』 五街道雲助 蜃気楼龍玉 2012/08/02 #rakugo #落語


前々から「いたちや」さんプロデュースの五街道雲助師の会は行きたかったんですよ。
今回やっと聴くことができました。

幸い、席も前から三番目。 


いやいや、これは凄かった。
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蜃気楼龍玉・長井好弘 スライド&トーク「蜃気楼龍玉と歩く『真景累ヶ淵』の舞台」
蜃気楼龍玉 『宗悦殺し』
五街道雲助 『新五郎』(音声ダイジェスト版)
五街道雲助 『豊志賀』

●蜃気楼龍玉・長井好弘 スライド&トーク「蜃気楼龍玉と歩く『真景累ヶ淵』の舞台」
となりのトトロ『さんぽ』を出囃子に長井さん登場、龍玉師・隅田川馬石師・長井さんの3人で谷中や上野(当時の下谷)などを歩き回って撮ってきた写真をもとにトーク。当日配布のチラシにちゃんと地図がついててなかなかいい趣向でした。PC操作は前座の入船亭辰じんさん、秋には二つ目昇進で小たつ(小辰?こたつ?)になるんだそうだ。

高座には演者の前、両側に燭台。蝋燭の火がこの噺にまた似合うんだ。


●蜃気楼龍玉 『宗悦殺し』
道楽亭で圓朝噺『緑松門松竹』を掛けていたことは知ってはいたけど、いやあ、うまいなあ。やたらと登場人物が多く、その多くが酷い人か駄目な人。これが見事に描き分けられている。
他の演者で聴いたことがないので比較はできないけど、とにかく最後まで引き寄せられっぱなし。
特にあの長屋のつづらの下りと、最後のほう、按摩の不気味さ。見事。


●五街道雲助 『新五郎』(音声ダイジェスト版)
これがご趣向。
2時間以上のプログラムで休憩が入れられないこともあり、おそらくは事前に録音した『新五郎(松倉町の捕物)』を流す。トイレに行ってもスピーカーで流してますからどうぞ、と。
この噺も面白いんだ。因果と刃物には気を付けたいものだ。

辰じんさんが蝋燭の火から香炉?に火を足す。


●五街道雲助 『豊志賀』
音声のみの『新五郎』がいいクッションになってさっと噺へ。
予想はしていたことだけど、雲助師の噺が凄い。ほんと凄い。
別に派手なことをしているわけじゃないのに一瞬の隙もなくこの噺をコントロールし続ける。
なんというか、ぐいっと魂を持っていかれるのを感じる。
新吉に思い入れればあまりに気の毒で、豊志賀に感情移入すれば哀しく、これを交互に繰り返しているうちに悲劇的な結末を見せつけられる。

揺れる蝋燭の明かりの中に浮かぶ雲助師の形、その妖しさ。
こんな妖しいものは初めて見たよ。

「ここから怪談になりますが、今宵はここまで」と頭を下げた雲助師。
座布団を外し、向かって右から左へと、蝋燭の火を消した。「真打」の語源ともされている所作。
そして一瞬、明かりがすべて消えて真っ暗に。

再び戻った照明の中で雲助師はあの笑顔。改めてのお辞儀。物凄い拍手。

これで客は現世に帰ってきたはずだけど、僕に関して言えば、身体に豊志賀の恨みがまとわりついているような感覚が、その後3時間ほど続いた。これホントの話。

怖い。ひたすら怖いんだけど、一方で何か清涼感というか、さわやかな感じがしてしまうのはなぜだろう。
夏にはやはり怖い噺ってことなのかな。

もともと圓朝噺はあまり得意じゃなくて、自分の中でどう位置付ければいいのかよく分からなかったところもあるんだけど、こうして素晴らしい噺を生で聴かせてもらって、うすぼんやりとその楽しみ方が見えてきた気がする。まだまとまってはいないんだけど。

とにかく、企画と演者ががっちりかみ合って、非常に満足度の高い会になっていたと感じる。
雲助師・龍玉師と・いたちやの皆さんにお礼申し上げたい。

また、「いたちやさんプロデュースの雲助師の会」に行きたいなと、心から思いまする。
 
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五街道雲助7「朝日名人会」ライヴシリーズ78「臆病源兵衛」「芝浜」


リンク
いたちやブログ: 御来場御礼

m_shike at 09:30コメント(0)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 このエントリーをはてなブックマークに追加

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