裏[4k]落語中心に

「今日のテーマは『振り返る』です」と、前座一年目にして「前座は笑わせちゃいけないというのに反発して」春風亭柳好のようなリズムとメロディの落語を目指した「前座としては完全に間違っている」談吉さん。「そんなことだから兄弟子に『本日は落語芸術協会から前座を借りてきた』とか言われてました」(ちなみにこれ覚えてます。言ったのは談奈さん「誰にも似てないけどなんか好きになっちゃう」とも)当時を振り返って、歌うように流暢な『孝行糖』

これがもう半端なく楽しい。
何でもないセリフのやり取りを聴いているだけでニコニコさせられる、与太郎が大げさに鉦太鼓をを鳴らすときに震える頬っぺたを見ているだけで可笑しくて仕方ない。
そして噺全体が唄となりとても耳に心地いい。

まずは浪曲『唄入り観音経』。元の節を知らないので何とも分からないけど、メロディが激しく上下するところはピッチ外れていたと思う。でも何の問題もない。気持ちいいから。

「もともと志ん生が掛けていたネタで。あまりにめちゃくちゃな噺なのでうちの師匠(家元)が地方で掛けたらちっとも受けなかったけど私は感激しまして、聴かせていただきお礼申し上げたら。師匠は『今日の客にはもったいなかったな』」。

雨が降ってきたので寄席に入ったら侠客伝である『夕立勘五郎』をやっていたがこれがひどい訛りの大変な浪曲で……。という筋。

確かにメチャクチャだけどそんなに分かりにくいわけでもないし、客席はどっかんどっかんウケていた。談吉さんがいろいろ工夫を凝らしたのかもしれない。

「師匠に初めて聴いていただいた噺を」とこの噺。立川流では立川こはるさんがやっていたのを聞いたことがある。

これがまた、実に心地よく軽快で気持ち良くて。

ここまであまりに楽しかったので、詳細あんまり覚えていない。

紙コップのお茶と大入り袋が配られる。凄いね。

花見小僧から刀屋まで通し。

ともすれば力の入る噺だと思うのだが、談吉さんは、まるで毛抜きで小骨を抜くように丁寧に、噺の重くなる部分を抜き取って、自分の色にしっかり染めてくるのがいい。

また刀屋の親父がいい味なんだ。権兵衛狸もそうだけど、あの高めの声でどうしてあの味が出るのか。

噺を終えたあと、この噺の落ちについてのこだわりを解説。これがまた面白くて。談吉勉強会は客も勉強できるのですよ。凄いでしょ。

今日はとにかく「楽しかった!」
終演後、狭い会場に楽しい空気がし充満していて、お客さんがみんな満足そう。
そのなかで数人の方に「ブログ読んでます」「ツイッター読んでます」「ブログで読んで談吉さん聴くようになりました」など大変ありがたいコメントを頂きました。すみませんお顔がなかなか覚えられないたちなので失礼があるかと思いますが、またお会いしましょう。

伸び盛りの二ツ目による楽しい落語と、それを通じた客同士の交流。いやほんと、幸せですよ。

次回勉強会は6/21。今日も完全に満席だったので、次回遅れて行ったらもう僕は入れないかも。今日は最初から聴けた、幸運としか思えない。
 

それにしても、今日の高座はCDにして売ってほしいなあ。とても幸せになったけどもう一回聴きたい!



 談吉さんによる家元の記録が掲載された『落語ファン倶楽部』談志特集にサインしてくれているところ。お疲れのところすみません。買うとサインしてくれると客を煽ったテイトが悪いんです。いや悪いとか言っちゃいけない、いい記念になりました。



そして帰りの電車の中で、この談吉さんのページを読んで泣いたのでした。