2012年03月17日
菊志ん師の力瘤に俺は復興を見た 鈴本演芸場三月中席夜の部(2012/03/11) #rakugo #落語
テレビ朝日『落語者』に感謝したいことの一つは、僕に古今亭菊志んを教えてくれたこと。
ファンキーで軽快な『天災』『祇園祭』には圧倒された。
昨年末、池袋演芸場でやっと生で観ることができた。良かった。
らくごカフェの企画『東京マンスリー』にいつか行くつもりで、なぜかいつも都合がつかなくて残念だったので、今回鈴本のトリと聴いて、一も二もなく駆けつけた。
ファンキーで軽快な『天災』『祇園祭』には圧倒された。
昨年末、池袋演芸場でやっと生で観ることができた。良かった。
らくごカフェの企画『東京マンスリー』にいつか行くつもりで、なぜかいつも都合がつかなくて残念だったので、今回鈴本のトリと聴いて、一も二もなく駆けつけた。
入船亭 ゆう京『子ほめ』(前座)柳家緑君『金明竹』林家二楽『紙切り』(桃太郎・助六・花祭り・宝船)古今亭菊太楼『真田小僧』柳家はん治『ぼやき居酒屋』アサダ二世『奇術』春風亭一朝『芝居の喧嘩』隅田川馬石『王子の狐』仲入り柳亭燕路『だくだく』林家正雀『豊竹屋』翁家和楽社中『太神楽曲芸』古今亭菊志ん『愛宕山』
●入船亭 ゆう京『子ほめ』(前座)
前座でした。特に印象なし。
いい名前だね。
●柳家緑君『金明竹』
いい名前だね。
●柳家緑君『金明竹』
どこが悪いのかわからないけど、ちゃんとやってる割に笑いが取れない。不思議。
●林家二楽『紙切り』(桃太郎・助六・花祭り・宝船)
●林家二楽『紙切り』(桃太郎・助六・花祭り・宝船)
初めて注文出したんだけど間に合いませんでした。難しいね、あれは。OHPプレゼンも入っていい芸でした。
●古今亭菊太楼『真田小僧』
●古今亭菊太楼『真田小僧』
初見。あまり印象に残らない。もっともこの話とは相性が良くないのでまた観たら印象も変わるだろう。
●柳家はん治『ぼやき居酒屋』
●柳家はん治『ぼやき居酒屋』
ゆるく深い味わいは、はん治ならでは。同じ噺でもじわっと楽しい。もうちょっと長い噺が聞きたいけど。
●アサダ二世『奇術』
●アサダ二世『奇術』
こちらも味わいの奇術。後を継ぐ人はいないでしょうからどうか長生きしてください。
●春風亭一朝『芝居の喧嘩』
●春風亭一朝『芝居の喧嘩』
おなじみ一朝懸命。得意ネタなんでしょうね、前にも聞いた。ぴしっと江戸ことば、心地よい。
●隅田川馬石『王子の狐』
先週の古金亭でも聴かせてくれた馬石師。中トリで時間たっぷり。癖のないほんわかした穏やかな語り口に好感。●隅田川馬石『王子の狐』
仲入り
●柳亭燕路『だくだく』
初見かな?この噺が好きなせいもあるけど楽しませてもらいました。
●林家正雀『豊竹屋』
●林家正雀『豊竹屋』
数日前にBSジャパン『今どき落語』で古今亭志ん輔師が演るのを観て、この噺がすっかり好きになってしまった。志ん輔師ほどではないけど正雀師のも良かった。義太夫なんてほとんどの人が聴いてないんだから、難しい噺だと思うんだけどね(『寝床』は義太夫唄わないからね)。楽しいです。伊東四郎・三宅裕司の「途中から歌になっちゃうコント」とかバズ・ラーマンの『ムーラン・ルージュ』なんか思い出したりして。
●翁家和楽社中『太神楽曲芸』
もうずーっと同じ出し物、でもOK。和助さんの土瓶が好き。
●翁家和楽社中『太神楽曲芸』
もうずーっと同じ出し物、でもOK。和助さんの土瓶が好き。
●古今亭菊志ん『愛宕山』
待ってました。満員の池袋演芸場では舞台前の通路まで客を入れるので高座から見ると〜というまくらから、毎度おなじみ軽快に全力疾走する本編へ。心地よいというより気持ちいい。素敵なロックンロールのようなグルーヴ感がたまりません。
そして、ここまですべての芸人が全く触れなかった 「この日のこと」。菊志ん師も全く取り上げてはいない、けれど幇間の一八が谷底から戻ってこようとするそのために、着物で作った縄を竹に縛り付けて、ぐいっと引っ張るその場面、渾身の力を込めた師の力瘤と「が・ん・ば・れ・ニッポン!」というセリフに、僕は「鎮魂」と「復興への意思」を見た。大げさだといわれそうだが見ちゃったものはしょうがない。
「竹をしならせてその反動で人間が飛ぶ」という虚構を成立させるためには、本当にものすごい力を必要とするので、この噺、体力が落ちたらできない。今まさに乗りに乗ってる菊志ん師ならではの熱演は、死者・行方不明者・倒壊家屋・原発災害・がれき……そんな「現実」に拮抗しうる「虚構の力」を魅せつけた(もっともこの力は、生で観てこそ伝わるもので、実際に被災された方に伝わらないのが、もどかしいのだが)。
だからまあ、僕はこの日にふさわしい噺だったと思うのだ。
まあそんな個人的な思い入れは別としても、実にさわやかな熱演でした。
この顔付けだったら満員でもおかしくないのになあ。
まあいいや。とにかく菊志ん師、また聴きたいもんです。