『シェアする落語』次回は7/7です。

2012年02月19日

[震災]いわき市の沿岸部で聞いた話


親戚の葬儀で、亡父の故郷である福島県いわき市に行ってきた。

いわき市は、大雑把に言うと沿岸部と内陸部に 分かれる、亡父の実家と親戚宅が多数あるのは沿岸部、すなわち被災地だ。
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かなり長い間父と疎遠になっていたこともあり、前に来たのが20年以上前という不義理ぶり。
昨年の大震災のときにも何もしていない。半ばお詫びに行くような気持ちで参列した。親戚の皆さんは温かく迎えてくれた。

葬儀の後、伯父に頼んで父の実家のあたりと、被害の大きかった豊間のあたりに車で連れて行ってもらった。

実家は商売をしていたのだが、目の前の漁港が閉鎖となって過疎化が進んでいたところに地震と津波が来た。津波の角度の問題で、他の地域に比べると被害は少なかったらしく、丈夫な普請だった店舗は何とか残ったものの、一階部分は完全に海水に浸かった。
店は閉鎖、主人である一番上の叔父は息子(僕から見ると従兄弟)を頼って疎開中。店の周りは更地が多い。


そこから車で数分のところにあるのが豊間地区。ここはひどかった。

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昨年5月にボランティアに行った宮城県山元町と変わらない。
集落の建物が軒並み土台だけになっていたのだ。
津波の直後には、おそらく大量の瓦礫に覆われていたのだろう。

地震発生時、伯父はたまたま、この辺りにいたのだという。
衝撃の影響か、運転していた自動車が動かなくなり、何度か踏み込んでいるうちにやっとエンジンがかかったので、裏道を伝ってとにかく高台へと逃げた。


「エンジンかかんなかったら 死んでたな」

と。


そして以下、街で聞いてきた話。
  • いわきは 過去に津波が来たことなく、チリ大地震のときも被害がなかった。だから三陸の「津波てんでんこ」みたいな言い伝えもなければ、最近の津波対策もなくて、被害が拡大した。
  • とにかく水かなくて、トイレに困って。
  • ガソリンがなくて、そのうち原発の風評被害で(関係ないのに)物資が届かなくなり、疎開する家が続出。
  • 葬式葬式葬式。葬式の連続。それも普通の葬式じゃない。幼い子供まで含めて一家丸ごと葬式とか。
  • 生徒会長を務めていた優秀な高校生が、入院していた老人を何人も救い出し、もう一人救おうとして戻ったところで津波に巻き込まれ死亡したと。美談に仕立てられてるけど、将来有望な高校生が死ぬくらいなら、あんな老人死んだってかまわなかったんじゃないかと内心みんな思ってるんじゃないか(しかし、助けられた老人だって居たたまれなかったろうと思う)。
  • 原発の周りから避難してきた人も多く、いわきの人口は増えている。しかし、被災者は働かない。仕事を探そうとしない。お金をもらえるので、それでパチンコをして、酒を飲んでいる。いつまでもそんなこと続くわけないのに。

さまざまな埋もれた悲劇と、どうにも難しい現実がここにもある。もうすぐ一年になる。

漁業は再開のめどが立たないとはいえ、いわきには大きな工場がいくつもあり、スパリゾートハワイアンズの営業も再開した。

「このあたりの復興は割と早いんじゃないかな。石巻とか、あっちのほうが大変だろう」
「ただ、原発が、な」とは伯父の弁。


m_shike at 21:40コメント(4)震災  このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

1. Posted by 埼玉の豊間っ子   2012年11月25日 19:07
豊間にあった母の実家は流されました。
その家に居た叔母は、2階に上がる途中で、首まで海水に浸かりましたが、ぶじでした。
昨年7月に豊間海岸な行きました。
人っこ一人居ない海を見たのは、初めてでした。
10年前まで母の実家は民宿をしていました。
豊間からは人が居なくなりました。
淋しいかぎりです。
2. Posted by 4k    2012年11月25日 22:02
コメントありがとうございます。豊間はほんとにいい海岸だったのに、あんなことになってしまって、言葉もありませんでした。

復興をお祈りしますとか、上っ面の言葉で慰めなんかにならない景色でした。ただ打ちのめされました。

少しずつでもいいから、深く傷ついた方が少しでも癒されるよう、お祈りするほかありません。
3. Posted by 埼玉の豊間っ子   2012年11月27日 13:52
お返事有難うございます。
豊間は特別危険区域に指定されてしまいました。
柱だけが残った母の実家は、先週跡形もなく、取り壊されました。先週、豊間に行ってきました。
涙が止まりませんでした。
豊間塩屋町という町が無くなってしまったのに、全くと言ってよいほど、豊間は報道されません。
憤りを感じます。
4. Posted by 4k    2012年12月02日 19:09
ご心中お察し申し上げます。

豊間のように、福島・宮崎・岩手にこのような報道されない悲惨があるのだと思います。僕も見てきました。

何ができるのか考えなければならないと思います。

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