2012年01月16日
笑えて切ない柳家喬太郎師 鈴本演芸場正月二之席 夜の部(2012/01/15) #rakugo #落語
初席は行かない。
混んでそうだし、前売めんどくさいし。持ち時間短いし。
なので新春初落語は二之席。トリが喬太郎師なら行くしかない。
●前座 林家扇『真田小僧』
●春風亭一之輔『鈴ヶ森』
●ストレート松浦 ジャグリング
●春風亭正朝『替わり目』
●柳亭左龍『羽織の遊び』
●大空遊平かほり 漫才
●春風亭百栄『お血脈』
●桃月庵白酒『短命』
お仲入り
●伊藤夢葉 奇術
●入船亭扇遊『一目上がり』
●柳家小菊 粋曲
●柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』
この顔付けですから、もう早めに行かないとまずいわけでして。 1時間前には歩道にずらーっと行列ができていた。確かに並ぶだけの価値はあるよね。混んじゃったりガラガラだったり寄席って大変だ。
●前座 林家扇『真田小僧』
確か二回目。ま、前座なのでという感じで、特にコメントなし。
●春風亭一之輔『鈴ヶ森』
こんな浅い上がりなのでこの時点でほぼ満員。初めて聴く噺だが一之輔さんに向いてますねえ、これ。駄目男の「不愉快」「怖い」「泣きそう」みたいな表情、そこに絡むもう一人の「イライラ」をやらせるとほんとうまいです。しっかりと楽しませていただきました。
えっ、こんなのが?iPad専用みたいだけど。
●ストレート松浦 ジャグリング
初めて。若くてさわやか一生懸命。でも寄席だから靴下。靴下もチャームポイントにしてました。
●春風亭正朝『替り目』
前の車屋のくだりと、後のうどん屋が出てこない真ん中だけの構成。こういうときは演題が変わるのかな?
旦那のかわいらしさがとても良くて、 安心して楽しめたわけです 。
●柳亭左龍『羽織の遊び』
噺も達者だけど、相変わらず表情が面白い。初めて聞いた噺。
●大空遊平かほり 漫才
遊平さんがボケているのか、トチっているのか判りにくい。これも味なんでしょうけど。
このあたりが僕にとってぎりぎり楽しめる寄席の漫才。落語協会だとホンキートンク・ロケット団・ホームランは面白い。
●春風亭百栄『お血脈』
相変わらずキモ面白いですね。ねちねちした地語りとか上目遣いの目線とかたまりませんね。泥棒は出てきた気がしますがこの程度ではネタかぶりのうちに入らないんでしょうね。新作聞きたかったけどあんまり好きじゃない『お血脈』が、なぜか新鮮に感じられたので良かったです。
●桃月庵白酒『短命』
まくらでは相変わらずニコニコ・はきはきと毒を吐く。
「寄席は不幸せな人が来るところですからね。幸せなカップルにはあえて … … 」とか、とか。
ネタはおなじみだけど、隠居と八のやり取りがスピーディで、コント的なグルーブ感に観客受けまくり。
お仲入り
●伊藤夢葉 奇術
好きなので、あまりにも短い出番が残念。
●入船亭扇遊『一目上がり』
ベテラン。出来は文句なし。
●柳家小菊 粋曲
こちらも短いのが残念。もうちょっと聴きたい。三味線のすごいやつ(よく覚えてないけど相撲がらみ)は凄かったけど。
●柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』
出囃子の『まかしょ』がかかるだけで嬉しくなる。待ってました!
まくらはなんと「大腸ポリープの手術」。
「洗浄液を飲んで、軽く運動、そしてトイレ」これを繰り返す腸内洗浄の様子をわざわざ立ち上がって演じる。場内は当然爆笑。
「こんな話でいいですか?」と客に聞きながら、なんとか話をたたんで 、名作との評判が高い自作 『ハンでき』へ。聴くのは初めて。
声のでかい肉屋・英語フランス語がめちゃくちゃな八百屋・スーパーの女オーナー、お節介で大げさに大騒ぎする商店街のキャラがきっちり作りこまれていて、前半は大爆笑。
これが後半の元・夫婦の会話にかかると、いつの間にか客はしんみりとさせられている。
爆笑としんみり、この二つの空気がぐるりと溶け合って、白酒師の『短命』にチラッとつなげたりして笑いを取りつつも、最後は秀逸な落ちにつながりしんみりは極限に達したまま終わる。なるほどこれは傑作。
人物、特に主人公(元・夫)の台詞に切実なリアリティがあり、うっかりすると、すっかり忘れていた自分の古傷が痛んでしまうような切なさ。 こういう切なさの表現は古典にはないよね。『子は鎹』なんかのほろりとはぜんぜん違う。
当然、逆の立場(元・妻)から感情移入する方もいらっしゃるのでありましょう。 痛いのは一緒です。
でもさあ「最初から材料買って来い」って思うけどな! それじゃ噺になんないけど!
とにかく、喬太郎師による人物造詣の確かさに唸らされ、ほろ苦い切なさを抱えて小屋を出ました。
落語でやれることを全部やろうとしている 喬太郎師。ああ、凄いなあ。
今回はまた「生落語始めて」の人とご一緒したんだけど、ご満足いただけたそうです。何よりです。
確か二回目。ま、前座なのでという感じで、特にコメントなし。
●春風亭一之輔『鈴ヶ森』
こんな浅い上がりなのでこの時点でほぼ満員。初めて聴く噺だが一之輔さんに向いてますねえ、これ。駄目男の「不愉快」「怖い」「泣きそう」みたいな表情、そこに絡むもう一人の「イライラ」をやらせるとほんとうまいです。しっかりと楽しませていただきました。
えっ、こんなのが?iPad専用みたいだけど。
●ストレート松浦 ジャグリング
初めて。若くてさわやか一生懸命。でも寄席だから靴下。靴下もチャームポイントにしてました。
●春風亭正朝『替り目』
前の車屋のくだりと、後のうどん屋が出てこない真ん中だけの構成。こういうときは演題が変わるのかな?
旦那のかわいらしさがとても良くて、 安心して楽しめたわけです 。
●柳亭左龍『羽織の遊び』
噺も達者だけど、相変わらず表情が面白い。初めて聞いた噺。
●大空遊平かほり 漫才
遊平さんがボケているのか、トチっているのか判りにくい。これも味なんでしょうけど。
このあたりが僕にとってぎりぎり楽しめる寄席の漫才。落語協会だとホンキートンク・ロケット団・ホームランは面白い。
●春風亭百栄『お血脈』
相変わらずキモ面白いですね。ねちねちした地語りとか上目遣いの目線とかたまりませんね。泥棒は出てきた気がしますがこの程度ではネタかぶりのうちに入らないんでしょうね。新作聞きたかったけどあんまり好きじゃない『お血脈』が、なぜか新鮮に感じられたので良かったです。
●桃月庵白酒『短命』
まくらでは相変わらずニコニコ・はきはきと毒を吐く。
「寄席は不幸せな人が来るところですからね。幸せなカップルにはあえて … … 」とか、とか。
ネタはおなじみだけど、隠居と八のやり取りがスピーディで、コント的なグルーブ感に観客受けまくり。
お仲入り
●伊藤夢葉 奇術
好きなので、あまりにも短い出番が残念。
●入船亭扇遊『一目上がり』
ベテラン。出来は文句なし。
●柳家小菊 粋曲
こちらも短いのが残念。もうちょっと聴きたい。三味線のすごいやつ(よく覚えてないけど相撲がらみ)は凄かったけど。
●柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』
出囃子の『まかしょ』がかかるだけで嬉しくなる。待ってました!
まくらはなんと「大腸ポリープの手術」。
「洗浄液を飲んで、軽く運動、そしてトイレ」これを繰り返す腸内洗浄の様子をわざわざ立ち上がって演じる。場内は当然爆笑。
「こんな話でいいですか?」と客に聞きながら、なんとか話をたたんで 、名作との評判が高い自作 『ハンでき』へ。聴くのは初めて。
声のでかい肉屋・英語フランス語がめちゃくちゃな八百屋・スーパーの女オーナー、お節介で大げさに大騒ぎする商店街のキャラがきっちり作りこまれていて、前半は大爆笑。
これが後半の元・夫婦の会話にかかると、いつの間にか客はしんみりとさせられている。
爆笑としんみり、この二つの空気がぐるりと溶け合って、白酒師の『短命』にチラッとつなげたりして笑いを取りつつも、最後は秀逸な落ちにつながりしんみりは極限に達したまま終わる。なるほどこれは傑作。
人物、特に主人公(元・夫)の台詞に切実なリアリティがあり、うっかりすると、すっかり忘れていた自分の古傷が痛んでしまうような切なさ。 こういう切なさの表現は古典にはないよね。『子は鎹』なんかのほろりとはぜんぜん違う。
当然、逆の立場(元・妻)から感情移入する方もいらっしゃるのでありましょう。 痛いのは一緒です。
でもさあ「最初から材料買って来い」って思うけどな! それじゃ噺になんないけど!
とにかく、喬太郎師による人物造詣の確かさに唸らされ、ほろ苦い切なさを抱えて小屋を出ました。
落語でやれることを全部やろうとしている 喬太郎師。ああ、凄いなあ。
今回はまた「生落語始めて」の人とご一緒したんだけど、ご満足いただけたそうです。何よりです。