2010年12月25日

リビング名人会談志Talk&Movie→立川談志独演会


先日、雷門獅篭東京落語会、打上げの席で隣に座った方に、23日よみうりホールの談志に行きますと行ったところ、

「いいなあ、談志は落語演るらしいよ」

え?

もともとこの企画は談志トーク&ムービーと題して第一部が山中秀樹とのトークショー、二部は「2007年伝説の芝浜」のDVD上映という出し物だったのだ。


それが、
本人の立っての希望で落語をやると!

リビング名人会立川談志
リビング名人会立川談志 posted by (C)[4k]shike




リビング名人会立川談志
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■第一部 トークショー
談志師の追っかけを自認する山中秀樹氏が登場し「プログラム変更のお詫び、ってこれお詫びじゃないですよねみなさん」拍手が。

続いて談志師登場。足取りは確か。
しかし声は、本当にこれから落語ができるのか?と思うくらい嗄れて聞き取りにくい。

今年を振り返ろうとする山中氏に対して、談志師の話はあっちこっちに飛び散って収拾つかない。面白いから構わないが。

途中から立川志らく師も参加。「師匠が芝浜やるってからこれは是非と来てみたら、あたしの楽屋がありました」「師匠、真打ちで来ているのはあたしひとりです」今年とは何の関係もない懐メロ話に花が咲く。

トーク40分で終了。

お仲入り 15分

■第二部
袴姿の談志師登場。ゆっくりと歩いて高座に上がり「三席やる」と宣言。

●落語チャンチャカチャン
最初の5分くらいは咳に悩まされ、話が途切れる度に戻るのに苦労していたが、これが治まると後は自由自在。次から次へと噺を繋いでいく。一体いくつの噺がぶち込んであったのだろう。鮫講釈の五目講釈みたいなもんですね。その技に驚嘆しつつも、これで喉がまともだったらなあと考えてもしょうがないことを思う。


●権兵衛狸
「ま、こんなところですかね。高座の上で初めて醜態をさらしてしまいまたが、……狸の噺をします」

相変わらず声は枯れたままだが、巧みな緩急と、過去と現在、噺の中と外を自在に動いていささかも噺を崩さない技術は正直すごいと思った。

特に、狸が来る前の権兵衛が、マウンテン・デュー(どぶろく)を飲みながら考え事をするシーンと、権兵衛のおかげで九死に一生を得た狸が山へ帰っていく、その情景描写には、痺れた。

僕はこの噺が非常に好きで、生で聴けて本当によかった。

●芝浜
まくらも振らずさっと入ったが、途中でどこまで噺が進んだか分からなくなり、客に聴いてやり直す。

やはりこの声では表現の幅が取れない。強弱とメロディがないから、感情の彩りは出せない。

それでも立川談志はすごい。テンポの切れと所作で魅せる。メロディがなくてもリズムで攻めるラップみたいな落語だ。また所作はとんでもないうまさ。
とはいえ、魅せてはいるが満身創痍だ。単調になると正直眠くなった。でも終盤はやはり泣けてくる。

正直、芝浜はあまり好きな噺じゃない。なんでこんなみんな芝浜にこだわるのかも分からない。

しかしこの芝浜に正真正銘命を懸けている談志のもの凄いこと。オーラさえ感じられた。

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さて、これは2006-200年頃に撮影されたNHKのドキュメンタリー番組で観たのだが、談志師が『富久』の悲哀を魅せるシーンを演じていたところで笑いが来て「ここ、そんなにおかしいかね」と話を切ったことがあった。はねた後にも「あーやだやだ、あんなところで笑いやがって」とぼやいていた。

この日も嫌な客がいた。
幸い僕の席からは遠かったが、近くの咳は相当迷惑だったはず。話の途中で席を立ち、戻ってくると腰に付けたチェーンか鍵かなんかでちゃらちゃら音を出し、挙げ句の果てには「アンコール」と抜かして、高座の談志師から「芝浜の後にアンコールがあるかい。ちっと黙ってろ」と怒られていた。

ただ、今日の高座、ひとつ残念なことがあった。

1人、非常に態度の悪い(性質も悪い)客がいたのだ。

私の席からは、だいぶ遠くに座っていたので、そいつの 顔はあまり見えなかったが、派手なシャツ着て、帽子を (ハンチング?)被っていたのだけは分かった。

高座が始まって少し経ったあたりから、大きい声で 相槌を打ったり、妙な声で笑ったり…。 遠く離れた私にまで、その声が聞こえていたんだから、 近くの席の人たちは、さぞかしイライラしただろう。

おまけに「芝浜」の途中で席を立って、外へ出たのだが チンタラ歩くうえに、多分チェーンだか車のキーだかを チャラチャラ鳴らしながら歩くもんだから、本当に耳障りで、 心底頭にきた。

よみうりホールの係員に、つまみ出されてしかるべき、 というほど酷い態度!

家元の、久々の年末の「芝浜」だっただけに、それが 本当に残念だった。
せっかくの「芝浜」だったのに…(涙) - 日日是口実 - 楽天ブログ(Blog)



談志師は戦っている。
老いと、肉体の病と、鬱と、煩悩と、かつて客と共有できていたはずの価値観の崩壊とも戦っている。もはやとっくに引退していいはずの老人なのに。

すさまじい戦いだ。

「見ての通り、俺はすっかり老いた、衰えた。それを晒しながらここまで演れる。まだ演る。まだまだ戦う。で、おめぇどうなんだ?おめぇどうなんだ?どんな面晒して生きているんだ。よう!」

なんだかそんな風に問いかけられたような気がした。

今回は幸運にも、生の立川談志を聴くことができた。それは本当に、本当に良かった。

でももうこれが最後だと思う。できるだけ長く高座に上がっていただきたいとは思うけど、今の談志師の噺は、落語の形をした壮絶なライブ・ドキュメンタリーで、それは談志を長年愛し続けてきたファンや弟子たちのためのもののような気がする。

つまり僕のような半端な落語ファン・立川流ファンのものではない。

でも、権兵衛狸はほんと良かった。たぶん忘れられないと思う。あと『野ざらし』『鼠穴』『粗忽長屋』も聴いてみたい。みたいけど。

リビング名人会立川談志
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リビング名人会立川談志
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談志「芝浜」など3席1時間20分復活 - 芸能ニュース : nikkansports.com

m_shike at 10:18コメント(4)トラックバック(0)落語 | 生落語感想 

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コメント一覧

1. Posted by カッパマン   2010年12月25日 10:36
明日、市馬の会に行ってきます。一部は志らく、三三との落語競演。そして二部は「昭和歌謡全集」でゲストが談志です。多分、談志のリクエストの曲を市馬が歌いまくるのでしょう。
2. Posted by 4k    2010年12月25日 10:41
トークショーで談志師は市馬に中野坂上のあるお店に遭った懐メロのレコードを全部譲った、貰ってくれたあいつはえれえと言ってました。その話を聞いてた志らく師も欲しかったんじゃないかなと思ったんですが。

今日あたり市馬師の『掛取漫才』『尻餅』なんかいいですね。
3. Posted by うずまき   2010年12月25日 12:51
5 生きることに しがみついて私達に これからも生きざまを見せつけてほしいです。
4. Posted by 4k    2010年12月28日 22:33
ああ、本当にそう思いますね。

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