2007年11月12日
説明が難しいが、奇跡のような話
僕がもっとも尊敬する日本人は宮武外骨という人だ。
明治大正期に活躍したジャーナリスト・雑誌編集者で、強靭な反骨精神と、斬新にしてエロくお茶目なクリエイティブで後進に多大な影響を与えている。
学生時代に赤瀬川原平氏の著作で知って以来、僕は外骨に心酔している。mixiにコミュニティも作った。
そのコミュニティで、外骨研究家として名高い故・裏田稔氏のご家族の方と遭遇した。聞くところによると、裏田氏の蔵書を預けていた古書店が倒産し、外骨関係の蔵書が散逸してしまったと。
悲しい話だけど、いつか必ず外骨が好きな人のところにたどり着きますよ、と僕は言った。
しばらくして、外骨関係の記述があるということで、梅原正紀著『近代奇人伝』をオークションで入手したところ「差出人梅原正紀、裏田稔様宛ての葉書」が出てきた。
文面から察するに、この葉書は、裏田氏が著者の梅原氏に年賀はがきを出した、その返信であるらしい。
ということは、この『近代奇人伝』は裏田氏の蔵書だったのだ。
散逸したはずの裏田氏の蔵書が、回りまわって僕のところに来たらしい。
こいつは奇跡だと思う。
『近代奇人伝』は、外骨以外にもとてつもない奇人ばかりが出てきて、なかなか面白い本でした。小倉清三郎なんて、とんでもない人がいたんですなあ。昔の日本には。
外骨の偉大さについては、またそのうち。